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   問題提起にあたり・・・・同友会のインターンシップへの取り組み方(素案)

 私たちはこれまで毎年高校の進路指導の先生方との懇談会を開催して参りました。 生徒はもちろん先生からも地元中小企業が全く相手にされなかった時代に、何とか地元企業にも人材を回して欲しいと始まったこの懇談会も、 その後の経済環境の変化と共に好景気=人材難から不景気=就職難へ、という時代の流れの中で、 「単に採用の話をするだけでは時代の流れに翻弄されるだけ」という教訓を得て、 高校の先生に地元企業の実態を知っていただき、企業家・高校の先生がお互いの立場から広く地域での 「人づくり」を考える場とするように変化してきました。
 今回は「インターンシップ」というテーマを掲げ、より大きな視点で且つより具体的な話し合いが進められるように企画しました。 一見即効性のない話し合いに見えるかもしれませんが、互いのより良い未来を探るきっかけにしたいと考えています。
 以下はこれまでの活動を振り返ってみて、インターンシップについての取り組み方をイメージしてみた素案です。 あくまでも討論の上での一つのたたき台としてご覧いただければ幸いです。



 現状認識:就職難→一方で高い離職率と採用したくても採用できない経済環境

 高校生の求人難が社会問題化しているのは周知の事実です。高校生の就職内定率が過去最低と言われる一方で、 離職率は3年で46.1%という現実もあります。学校側の「是非ウチの生徒を採用して欲しい」という切実な願いの一方では、 採用しても長続きしない、という企業側の不満もあります。
 また、経済環境の変化によって、企業側に新卒を一から育てる体力がなくなってきた点も挙げられます。 「採用したくても採用できない」これが多くの地元企業経営者の代表的な声ではないでしょうか。

 ”ミスマッチ”とは何か?・・・・もう一度「いい生徒、いい社員、即戦力」を問い直す

 こんな厳しい財代にも関わらず、せっかく入社しても比較的短期間で職場を去ってしまう社員が多いのは非常に残念なことです。 いわゆるミスマッチの問題をどう捉えていくのかは非常に重要なことだといえます。
 退社した社員の声には、「想像していた仕事と違った」「人間関係がうまくいかなかった」「給料や休日・労働時間に対する不満」 「話し相手がいなかったので孤独だった」などがあるようです。
 この背景は、働くことや企業、社会の現実に対する認識の浅さや、就職までのプロセスの中で十分な 「企業選び=自分探し」ができない仕組みの問題があるといえます。
「いい生徒」とは決して成績が優秀な生徒とは限りません。むしろ「○○会社に『合った』生徒」と表現するべきではないでしょうか。 また「進学校だから」という理由でインターンシップなど就職に関する事には参加しない学校も多い訳ですが、 進学した先には必ず社会が待っています。本来は「生徒の将来をどう考えるか?」が第一目標であるはずの進路指導が、 いつの間にか目先だけの進路指導になってはいないか、本当に一人一人の個性・適性に合った企業(進路) の選択ができているのか、またそのための情報提供は十分なのか、などを問い直す必要もあるのかもしれません。
一方では、企業としてこうした厳しい時代を乗り切るための人材をどう考えるのか?を問われているとも言えます。 「いい社員」とは何か?自社の「めざすもの=経営理念」を自分のものとして、 イキイキと働く社員を育てることができるのか、そのための手間暇とコストを惜しんではいないか、 もう一度振り返ってみることも大切だと思われます。中小企業家同友会全国協議会(中同協)の景況調査では、 「人を採用することで企業のパワーアップにつながっている」との結果も出ています。 自社の将来を見据えた人材計画を持つことの重要性を改めて認識する必要がありそうです。

 大人になりきれない子供(生徒)たち

 また根底からの問題として、異なった年齢・考え方を持った中での人間関係を築く事ができない人間力・ コミュニケーション力が欠如している、いわば「大人になれない」子供たち、という社会全体の課題が挙げられます。
身近に「働く」ことなどの社会経験を見聞したり体験したりすることが難しくなった今日、私たち大人がどう社会の中で子供たちを育てていくのか、 は大きな課題の一つといえるでしょう。

 大人体験、という視点でのインターンシップ

 こうした現状に立って考えたときに、インターンシップには大きな意義をもっているといえます。 この制度は、社会経験が乏しい子供たちが職場実習を通して実際の仕事の楽しさと厳しさ、そして実習先での異なった年齢の人たちと接し方などを学び、 成長することが最大の目的です。
企業側にとってはその受け入れにあたってはかなりの手間暇がかかる訳ですが、そのことによる社内の活性化や社員教育・ 意識の高揚といった間接的なメリットがあります。採用の有無に関わらず、地域の企業が地域の若者たちに「大人の経験」の場を提供する。 同友会の考えるインターンシップ=職場体験学習が就職とは別だとする最大の理由はここにあります。

 採用の前段階・・・・仮採用・熟練期間としてとらえた場合の危うさ

 一方で、大学生などを中心としたインターンシップなどに多く見られるものとして就職を前提とした実習という認識のインターンシップがあります。 生徒(学生)が実際に従事する予定の仕事を経験し、実務訓練と本当の適性を見極めるというスタンスで、生徒(学生) にとっては自己の適性を実際の職場での実務に添った形で体験できる、企業にとっても同様の見極めと早期の人材確保ができるという利点があると言われます。
 しかしながら、現実的には職業安定法で高校生についての事前実習は禁止されており、また、 人材確保として考えた場合にはその開始時期や手法などが際限なく前倒しとなる恐れがあります。 現実に、大学生の入社内定時期は3年生の春休みというのも珍しくはありません。私たち地域の中小企業家がこの路線に乗った場合には、 かつてのバブル時代のように資金力と組織力とで大手企業に圧倒されてしまうことは明白です。同友会としてはこの種の「仮採用」 をインターンシップとは全く別のものとして認識すると共に、仮採用・熟練期間というスタンスでの職場体験学習には慎重に対応すべきだと考えます。

 高校生のアルバイトの是非について・・・・アルバイトよりもインターンシップを!

 「アルバイトを経験した」生徒は、「アルバイトを通して、入社前に仕事の適性を確認できた」 「上下関係や挨拶などの基本的な事項が身につく」「働くことの厳しさを経験している」といった企業側としてのプラス面が言われます。
一方では、「正社員とアルバイトでは求められる仕事の質が違う」ということも言えるのではないでしょうか。 時間の切り売りであるアルバイトは拘束された時間によって賃金が支払われる訳ですが、社員には、時間以外の仕事の成果=お客様にいかに喜んでいただけるのか? という尺度が求められます。従って、正社員であれば一定の条件の中では残業や早出、休日出勤なども必要なことがあります。
 表向きは禁止にしている高校が多いとはいえ、実態としてアルバイトを経験している高校生はかなりの数にのぼると思われ、 中には10万円程度の収入を得ている高校生も存在しているようです。こうして「時間いくら」「高校生で学校に通いながらという片手間でも10万以上も稼げる」 というアルバイトの感覚のまま企業に入社した場合、残業が多い・給料が安い、というような表面だけの判断で離職してしまうことにもつながっているのではないでしょうか。
このことからも、社会経験を積む、という意味では経済的な見返り(労働の対価としての賃金)のあるアルバイトではなく、 むしろ学習の一環としてのインターンシップを積極的に取り入れることが有効なのではないかと考えます。

 地域の中で「共に育つ」ネットワークづくりを!
  〜インターンシップを体験しなければ損をするぞ!という社会に〜


 地域の若者たちを一人前にするためのお手伝い。インターンシップをそう捉えた場合、受け入れ企業をより多くする必要があります。 そのためには、インターンシップの意義を関係者の間で一層広めることはもちろん、 例えばインターンシップ受け入れ企業を社会貢献の一つとして行政が積極的に公開していくなどの方法も必要だと思われます。
 また、現状では受け入れ企業探しも個別の学校ごとの努力が中心となっており、先生方の苦労と合わせて、 受け入れ企業としては個々の学校とそれぞれやりとりするという煩雑さが生じています。 インターンシップ制度を広めるためには、学校側と企業側との中間での窓口機能が不可欠ではないかと思われます。
 将来的には進学校も含めた全ての学校の希望する生徒(あるいは「やらせてみたい生徒」)が全て参加できるインターンシップを構築できることが理想です。 インターンシップを受けた生徒が変わった、という経験を積み重ねることで、「インターンシップを経験しないと損だ」という認識を広げていきたいと考えます。
 地域の企業が元気にならなければ、地域の発展はありえません。 「この地域をどのようにしたいのか。どんな若者を育てていくのか」という立場にたって、 学校・企業・行政などの地域が一体となって、 目先のことだけではないインターンシップの取り組みが求められているのではないでしょうか。

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