伝統を止めない、伝統をはじめる
~困難な時代を環境に合わせて変化する力~

報告者 ㈱三義漆器店 代表取締役 曽根佳弘さん(会津支部)

 6 月29日(木)国内の展示会はもとより、海外の国へも積極的に出展を続けてきた曽根さん。日本の大人向け食器を、発想の転換で現地の子ども用として作り替えて販売することでヨーロッパ進出を遂げ、フランスのリヨンに物流拠点を築きました。しかし、東日本大震災後の風評被害で撤退に追い込まれてしまいます。
 ここでへこたれない曽根さんが次に選んだのはアメリカ進出です。塗り物の文化のない国で漆器を受けて入れてもらうには「塗ることに意味を持たせること」と、ここでも発想の転換で撥水塗料による漆器の開発につなげました。食洗機対応の漆器は曽根さんの会社が史上初で、ニューヨーク近代美術館をはじめアメリカ各地で販売されているそうです。当然、日本の有名なスーパーやホームセンターなどのPB商品にも採用され、多くの賞を受賞するなど輝かしい飛躍を遂げています。
 更には、同友会大学で聞いた小松博士の講座に感銘を受け、土にかえる「生分解性バイオプラスチック」素材で作った漆器の開発に至りました。「これからは持続可能な社会に向けて積極的に取り組まなければ、子どもや孫に地球を残せない」と曽根さんは訴えます。
 幾度も逆境のマイナスをプラス思考で乗り切りながら、自社愛で溢れる社員さんの会社へと築き上げた曽根さん。私は、みんなから愛され続ける会津を代表する「起き上がり小法師」のような存在に思えてなりません。

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