いまこの人 3月号

 須賀川支では「岡ちゃん」の愛称で親しまれ、場の空気を和ませる存在として知られています。明るい語り口が印象的ですが、経営や地域の話になるとその表情は一変。須賀川市・白河市を拠点に福祉用具の販売・レンタル業として携わる中で、常に意識しているのが「地域のケアインフラをどう支え続けるか」という問いです

 2022年にケアシストを創業した岡部さんですが、その際に重視したのは、制度と現場の両方を冷静に見極めることでした。必要な要件や人員体制を一つずつ確認し、無理のない形で準備を進めたうえで事業をスタートさせました。独立構想は会社員時代からありましたが、感情や勢いで踏み出すのではなく、「この地域で続けられるかどうか」を判断基準としてきました。その積み重ねが、現在の事業の土台になっています。

 事業運営の考え方を支えているのが、経営理念である「社会貢献=『しなやか』『最適化』『創造』」で、それらを達成するために①サービスの質×働きがい(働きやすさ)=利益、②組織体→役割・分析・変化、③投資→人材・企業・新事業、④広報→発信・マーケティング・CS、⑤多様化→人材・販売・事業、という5つの事業ビジョンのテーマを掲げています。変化に柔軟に対応しながら、現場にとって本当に意味のある形を探していく岡部さんの姿勢は、利用者の生活環境や身体状況を丁寧に確認し、一人ひとりに合った用具を提案する日々の仕事に自然と表れています。
 また、事業は単独で完結するものではありません。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所と連携し、須賀川・白河両地域で役割を分け合いながら、支援の流れが滞らないよう調整を重ねてきました。連携を前提とした実践が、現場を無理なく支える基盤となっています。

創業からまだ年数は浅く、経営は今も試行錯誤の連続のようです。社内・評価制度への対応、人材、組織づくりなど、向き合う課題は多数あります。それでも、拡大を急ぐよりも、今この段階で必要なことを一つずつ整えていく姿勢を大切にしています。外からは順調に見える場面があっても、「まだ基盤づくりの途中」という認識で足元を見つめ続けています。

未来の担い手に福祉の講習を行っています
社員さんとのコミュニケーションも欠かさず

 目指しているのは、事業を大きくすることそのものではないと語る岡部さん。地域で介護を必要とする人が、必要な支援を受け続けられる状態を事業としてどう維持していくか。その問いに向き合い続けることが、経営の役割だと考えています。競争よりも連携を選び、やることと同時にやらないことも決めます。その判断の積み重ねが、地域のケアインフラを支えていきます。
 須賀川支部の中心人物の一人として、仲間と語り合い、学び合いながら、自らの経営と地域の未来を重ねて考える。その姿勢こそが、今の経営を、そして地域を前に進める岡部さんの力になっています。