いま、この人 9月号

地域に根を張りながら未来を見据える
㈲五百川製材所
増子 智一 さん(あだたら支部)

今月の「いまこの人」は、あだたら支部の〝若きホープ〟㈲五百川製材所の増子智一さんです。増子さんは20歳から31歳までの、11年間東京で、アパレル営業などの仕事をしていました。

20代のころは、ベンチャー企業が数年で急成長し、また一瞬で消えていく姿を間近で見てきました。「資金を貯めて起業し、5年で年商10億円に駆け上がる。でも、転落も同じスピード。流行に乗れば一気に伸びるが、外れれば明日はない。そんな世界でした」。

福島へ戻るきっかけ

東日本大震災の時、東京で帰宅難民になりかけながら、3~4時間かけて歩いて帰宅しました。その時ふと「日本一の都市で、誰かが創ったものの中で楽しんでいるだけの人生でいいのか。だったら地方に行って、ゼロから何かをつくり出したい」と思ったことをきっかけに、被災地へ手伝いに行こうと一度実家である福島に戻ることを決めました。被災地の復興に関わる建築業界は忙しく、材木や建材の需要が急増。重い荷物を運んだり、壊れた家屋の修繕を手伝ったりと、やることが沢山ある生活が楽しくなってきました。

その中で、どんな仕事があって何が必要で、どの職人さんを手配するといった段取りを、初めは遊び感覚で手伝っていましたが、「責任を持って仕事をしろ」と諭されたことを機に、平成29年には「2級建築施工技士」を独学で取得しました。そこから関連する資格を次々取得し、気づけば21種類にのぼります。「3回落ちたらやめようと思ってました。でも2回目で受かり、そこから『本気でやる』と決めました」

高所作業も厭わず、特殊伐採の技術を磨く日々。「1本の木を倒すために1時間準備しても、伐るのは一瞬。そのプロセスが面白い」と増子さんは言います。

同友会との出逢い

同友会との出逢いは、三栄アルミ工業㈱の現会長の門馬秋夫さんさんからの「経営者の勉強する団体があるよ」と同友会を紹介され入会しました。経営理念や人材育成を真剣に学ぶ経営者の姿に触れ、衝撃を受けました。20代のころに見てきた社長像とは違いました。短期の利益ではなく、人を大切に共に育てる考えに共感しましたし、異業種の集まりの中で様々な悩みを共有しながら、同世代の会員が頑張っているから自分も頑張ろうと力をもらっていると言います。

今ではあだたら支部理事としても活躍し、支部内でも一目置かれる存在です。

昨年度は経営指針を創る会に参加し、半年の間、悪戦苦闘し自分なりの指針書を創り、常に成長を続けています。

これからについて

震災後に開拓してきた、お客様を大切に一般の伐採業の業者がなかなか手を付けない、狭小地の立木の特殊伐採をはじめ、住宅リフォーム、建材の販売等、常にあきらめないで、時代の風を読み、今何が必要とされているか、何が出来るか、自分を見つめていきたいと語ります。

伐採の現場でも、経営の学びでも、「責任を持ってやり切る」をいう姿勢は一貫している増子さん。

将来のあだたら支部を引っ張る存在として、支部の発展の中心的存在になることを期待してやみません。