いま、この人 7月号
発展と地域社会のために
創業以来変わらぬ理念
弓田 八平さん
㈱弓田建設 会長
事業内容
土木・建築・舗装を中心に、住宅、不動産、インフラ維持管理まで幅広く手掛ける会津屈指の総合建設企業。地域に根差した事業と社会貢献活動を展開しています。
創業の原点 ― 「発展と地域社会のために」
㈱弓田建設の創業者である弓田八平さんは、19歳で緑化工事業を立ち上げ、その後1979年に創業、1982年に法人化しました。創業以来掲げ続けている社是が「発展と地域社会のために」です。
創業当初は決して順調ではありませんでしたが、会津自動車工業㈱の故・四家氏との出会いが大きな転機となりました。店舗工事などを任されるようになり、経営は次第に軌道へと乗っていきます。その経験から、「多くの人に支えられて今日がある。いつか地域に恩返しをしたい」という思いを強く抱くようになりました。

人を大切にする経営
弓田さんが経営において最も重視しているのは、人としての人格形成と信用です。
平成15年頃、建設業界は深刻な不況に直面しました。会社も厳しい状況となり、経営改善のためにコンサルタントを導入しましたが、提案されたのは人員削減でした。しかし弓田さんは、「社員を守ることが経営者の責任」としてこれを拒否。誰一人として削減することなく経営改善に取り組みました。
その結果、社員の士気は高まり、会社は危機を乗り越えることができました。この経験は、人を大切にする経営こそが企業の成長につながるという信念をより強固なものにしました。
地域への恩返し
社是を実践するため、弓田さんは地域貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
鶴ヶ城保全活動をはじめ、市民が郷土に誇りを持てる活動を継続してきました。また、有森裕子氏、村田諒太氏、櫻井よしこ氏らを招いた文化講演会を開催し、多くの市民へ学びの機会を提供しています。
さらに活動の輪を広げ先日一般財団法人 弓田八平会津歴史文化保護財団を設立しました。 さらに2014年には創業35周年を記念して「あいづ子ども夢農園」を開園。子どもたちが農業や食の大切さを学ぶ場をつくりました。参加した子どもが後に弓田建設へ入社するなど、その活動は次世代育成にもつながっています。

モンゴルとの絆
2011年の東日本大震災の際、モンゴルの孤児院「太陽のこどもたち」で暮らす子どもたちが、生活費1か月分を日本への義援金として寄付したことに弓田さんは深く感動しました。
この出来事をきっかけにモンゴル支援を開始し、一般財団法人日本モンゴル友好ハッピー協会を設立。これまでにランドセル約3,700個、楽器約2,700点、800万円を超える義援金を行っています。また、「モンゴル太陽のこどもたちチャリティーコンサート」を継続開催し、両国の交流を深めています。
弓田さんは「ボランティアの基本は見返りを求めない無償の愛」と語ります。その功績が認められ、令和7年にはモンゴル政府から最高位の勲章である北極星勲章を受章しました。

次世代へのメッセージ
弓田さんは、これからの地域企業に必要なのは「志を持った経営」だと語ります。利益だけを追うのではなく、社員や地域社会から信頼され、必要とされる企業であり続けることが大切だと考えています。
そして若い経営者へ向けて、次の言葉を贈っています。
「志を持ち人に『ありがとう』と言ってもらえる経営を目指してください。」
その言葉には、創業以来変わることのない感謝の心と、地域への深い愛情が込められています。
