いま、この人 8月号

 いわき支部設立のチャーターメンバーとして同友会に関わり、その後約20年の歳月を経て再入会した古谷さん。今回は、事業変革の軌跡と復帰後の同友会活動で得た気づきや学び、そして今後の展望を伺いました。

 中國産業㈱の歴史は、先代社長(父)が作業服メーカーの責任者として1965年にいわき市へ赴任したことから始まります。小名浜で臨海工業地帯の計画が進む中、先代はビジネスチャンスを確信し、1975年に独立しました。地縁のない土地での資金繰りの苦難を乗り越え、50年以上にわたり地域に根を下ろしてきました。当初は特定メーカーのみの扱いでしたが、多様なニーズに応えるうちに取扱メーカーは100社以上に拡大。追加対応や特殊加工など各企業の事情に寄り添う「ユニフォームアドバイザー」として地域密着型サポートを続けています。

 いわき市で育った古谷勝一さんは、大学卒業後に損害保険会社へ就職。1996年、30歳を目前に家族で故郷へUターンし、父親が営む家業に入社しました。「全て教えてください」と謙虚に先輩から仕事を学び、地道な営業を重ねて数年後に専務に就任。いわき青年会議所(JC)にも入会し、地元経営者との人脈を広げました。1999年11月の同友会いわき地区(現・支部)設立時には、35人のチャーターメンバーの一人として参画します。しかし、JC活動の多忙化に加え、専務という立場では同友会での学びを社内に導入しようとしても社長(父)の反対に遭う葛藤がありました。組織に学びを還元しきれない事情から、数年で一度退会することとなります。

売れ筋商品、「空調ベルチェベスト」「セーフティースニーカー」
“年中無休”の「作業着本舗」外観

 2006年に2代目社長に就任した古谷さんは社業に専念し、攻めの経営に打って出ます。従来の法人向け(BtoB)に加え、職人向け実店舗「作業着本舗」を展開(BtoC)。臨海工業地帯ならではの需要に特化した品揃えで安定収益を確保しました。さらに人手不足のリスクを避け、ECサイト(楽天・Yahoo!・自社サイト)の運営を軌道に乗せたことで、「法人5割、実店舗3割、EC2割」というバランスの良い売上構成を構築しました。
 東日本大震災時は一時事業が中断したものの、復興工事の本格化や相双地域の除染作業に伴い、防護服や各種備品の需要が急増。続くコロナ禍でも、顧客の多くが屋外で働く人々であったため業績への悪影響はなく、同社は地域産業の足元を支え続けました。

 2023年、共に支部のチャーターメンバーであった渡辺啓治代表理事の熱心な誘いで20年ぶりに同友会へ復帰。かつての「やらされ感」とは違い、「主体的な学び」が始まりました。復帰1年目に経営労働委員会へ所属し、郡山での経営指針発表会で仲間たちの真摯な発表に深く心を打たれ、活動へのスイッチが入ります。翌年には広報委員長に就任。取材名目で、ほとんどの支部行事に顔を出すスタイルが定着しました。全国大会にも足を運び、組織の素晴らしさを理解する中で、損得勘定抜きで本音を語り合える仲間との交流に、今までにない経営の刺激を感じています。「同友会は、共に成長していく『人生のパートナー』のような存在」と語る古谷さん。学びを通じて、信頼関係に基づく商売の本質を再認識し、自身の成長を実感する今、いつか社員全員の前で「同友会で会社がこれだけ変わった」と発表することを目指し、情熱を持って精進を続けています。

店内の「刺繍工房」で製品加工をして独自カスタマイズも可能!

中國産業㈱
事業内容:作業服・ユニフォーム、作業用品の販売
設立:1975 年
住所:いわき市小名浜中原10-6
TEL:0246-52-1353
FAX:0246-52-1339
資本金:1,000 万円
社員数:正社員9 名・パート社員6 名
URL:https://f-chusan.co.jp/

レポート/阿部 雄飛 福島県中小企業家同友会(いわき事務所)